あしたの灯 ― 前を向ける短い話(自己啓発の短編)
がんばりすぎた日に。説教ではなく、誰かの小さな一歩の話。読み終えると、明日の自分に一行の言葉が残ります。
既読のまま二週間
駅前のクリーニング店で受付をして十一年。大学の同期から届いた長いLINEに、二週間返事ができずにいる。
垂木の束
ホームセンターの資材館でパートをして九年。二十歳の新人が束ねる木材が、いつもきれいだ。それを、まだ一度も本人に言っていない。
運賃箱の二つのボタン
市バスの運転手になって二十二年。新しい運賃箱のボタンの使い方を、四十七歳はまだ誰にも聞けていない。
知らない駅で降りる
毎日同じ電車で、同じ駅を通りすぎる。ある金曜の帰り、一度も降りたことのない駅で降りた。
八十点で出す
企画書を三週間抱えていた。締め切りの朝、上司に「八十点でいいから出して」と言われた。
昼寝の許可
二歳と五歳の母。十五分だけ昼寝をすると決めた日曜日、家族は思ったより平気だった。
失敗ノート
洋食屋の二代目。父から店と一緒に受け継いだのは、レシピ帳ではなく、失敗ばかり書いたノートだった。
歩くのが遅い人
新宿駅で、いつも人に追い抜かれる。ある朝、追い抜かれるのをやめてみた。
一行日記の四年目
一日一行だけ書く日記。四年目に読み返したら、いちばん多かった言葉は「ねむい」だった。
断る練習
病棟三年目の看護師。頼まれた夜勤の交代を、はじめて断った日の話。
三日坊主を十回やった
朝のランニングは三日で終わった。それを十回くり返したら、去年より三十日ぶん多く走っていた。