仕事の泣ける話・感動する話 19選
「仕事」をテーマにした、3分で読める短い物語。泣ける話から、くすっと笑える話まで。
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合鍵、一本
スーパーの一角にある小さな合鍵屋。山がすり減って丸くなった古い鍵を一本持って、七十代の女性がやってきた。
百八十六段
長崎の実家の米屋を手伝うことになった。最初の配達先は、車の入らない坂の上。五キロの米を担いで階段を上る。
十九時四十分の値引き
閉店まであと一時間二十分。スーパーの鮮魚売り場で値引きシールを貼るパートと、毎晩同じ時刻に来る作業着の客。
調律は四十分
「売る前に一度だけ、調律してほしい」。二十年ふたを開けていないピアノのある団地へ、五十六歳の調律師は出かけた。
片側交互通行
夜の県道の工事現場。赤い誘導灯を振る六十七歳と、二十歳の新人。夜明けまで、あと六時間。
フロント引き継ぎノート
駅前の古いビジネスホテル。夜勤のフロント係が書きつなぐ引き継ぎノートに、長期滞在の客のことが増えていく。
面談室B
会社の方針で、二十年一緒に働いた部下に、辞めてくれと言う役が回ってきた。
チャンさんのメモ
コンビニの留学生バイトが、国に帰る前に残したもの。
段ボール三箱
引っ越しのバイトで運んだ、おじいさんの全財産。
タクトを置いた指揮者
市民オーケストラの指揮者が、最後の演奏会の途中で腕を下ろした。
最後に覚えた漢字
夜間中学の七十二歳の生徒と、三年目の新米教師。
ベリーショート
抗がん剤で髪が抜ける前に、常連のお客さんが頼んだ髪型。
ポストの前の人
毎日ポストの前で郵便を待つ一人暮らしのおばあさんと、配達員。
丸のついた献立表
給食室で三十年。毎日きれいに空になって戻ってくる食器があった。
メーターを倒し忘れた夜
深夜、赤ん坊を抱えた女性を救急病院へ運んだタクシー運転手。
三十年前のネジ
倒産寸前の町工場に、宇宙開発メーカーから電話がかかってきた。
名札の名前
誰にも名前を呼ばれない清掃員に、ある新入社員が言った一言。
閉店の日の棚
五十年続いた町の本屋が、最後の日に作った特別な棚。
運転席の窓のメモ
廃線になるローカル線の運転士と、毎朝一番前に座った少年。