はれの ひの ながぐつ
げんかんの すみに、あかい ながぐつが いました。
ながぐつは あめの ひが だいすきです。
みずたまりに ばしゃん。どろの みちを ぐちゅ、ぐちゅ。かえってきたら、かさと いっしょに げんかんで ひとやすみ。それが いちばん しあわせな じかんでした。
ところが、もう 八にちも はれが つづいています。
まいあさ、さきちゃんは スニーカーを はいて でかけて いきます。ながぐつの ほうは みもしません。
「ぼくの こと、わすれちゃったのかな」
ながぐつは げんかんの すみで、すこしずつ ほこりを かぶって いきました。
九にちめの あさ。
テレビの てんきよほうの おねえさんが いいました。「きょうの ごごは、ところにより にわかあめ」
ながぐつは、げんかんで ぴくっと しました。
でも、さきちゃんは やっぱり スニーカーを はいて でかけて いきました。
ごご三じ。そとが きゅうに くらくなって、ざあっと あめが ふりだしました。
ながぐつは まどの ほうを みつめて いました。あめが ふって いるのに、じぶんは げんかんに いる。それが いちばん かなしいことでした。
あめは 十五ふんで やみました。
そして 四じ。げんかんの ドアが いきおいよく あきました。
「ただいま! おかあさん、ながぐつ!」
さきちゃんは くつしたまで びしょびしょでした。スニーカーは ぐしょぐしょで、あるくと ぐぽっと おとが しました。
「こうえんに、おっきい みずたまり できてるの。いまから いっていい?」
ながぐつは、ほこりを はらって もらって、さきちゃんの あしに はいりました。
こうえんの みずたまりは、すべりだいの したに あって、そらが うつって いました。
さきちゃんは、いちど うしろに さがって、はしって、とびこみました。
ばっしゃーん。
ながぐつの なかまで、ちょっと みずが はいりました。
それでも ながぐつは、いままでで いちばん うれしかったのです。
読み終えて、どうでしたか