パンやさんの いちばんのり
まちの かどに、ちいさな パンやさんが あります。
パンやの おじさんは、まだ くらい うちから おきて、パンを やきます。まるい パン、ながい パン、うずまきの パン。
あさ 六じ。おみせの シャッターを あけると、いちばんに やってくる おきゃくさんが います。
すずめの チュンです。
チュンは おみせの まえの てすりに とまって、「チュン」と ひとこえ なきます。
おじさんは、パンの はしっこを ちぎって、てすりの したに おいて あげます。
「はい、いちばんのりの おきゃくさま」
チュンは それを くわえて、でんせんの うえまで とんでいきます。そこで ゆっくり たべるのが すきなのです。
ある あさ。
おじさんが シャッターを あけても、チュンが いませんでした。
おじさんは すこし まちました。まるい パンを たなに ならべて、また そとを みました。いません。
「かぜでも ひいたかな」
すずめが かぜを ひくのか、おじさんには わかりません。
その ひは なんだか しずかで、パンを やく てが いつもより ゆっくりに なりました。
つぎの あさ 六じ。シャッターを あけると、てすりの うえに すずめが いました。
一わ、二わ、三わ、四わ。
いちばん はしっこに チュンが いて、そのとなりに、まだ はねの ふわふわした ちいさな すずめが 三わ ならんで いました。
「チュン」
「ちゅ」「ちゅ」「ちゅ」
おじさんは しばらく ぽかんと していました。それから おみせの おくに もどって、パンの はしっこを いつもの 四ばい ちぎって きました。
「きょうは いちばんのりが 四わか」
でんせんの うえが、あさから にぎやかに なりました。
それからずっと、あの パンやさんの いちばんのりは 四わです。ときどき 五わの ひも あります。
読み終えて、どうでしたか