おばあちゃんの ボタンばこ
おばあちゃんの いえには、クッキーの あきかんが あります。
ふたを あけても、クッキーは はいって いません。はいって いるのは ボタンです。
「まなちゃん、みる?」
おばあちゃんが ふたを あけると、じゃらっと いい おとが しました。
あかい ボタン。きんいろの ボタン。いかりの マークの ボタン。まんなかに あなが よっつ ある、しろい ボタン。
まなちゃんは ひとつ つまみました。みどりいろで、はっぱの かたちを しています。
「これは?」
「それはね、おかあさんが ようちえんの ときに きてた セーターの ボタン」
「ママの?」
「そう。ママ、その セーターが だいすきでね。ちいさく なっても きるって ないたんだよ」
まなちゃんは ボタンを てのひらに のせて、じっと みました。ママが ようちえんの ころなんて、ぜんぜん そうぞう できません。
つぎに、おおきな くろい ボタンを つまみました。
「これは おじいちゃんの コート。おしょうがつに かならず きてたの」
「これは?」
ちいさくて ピンクいろの、うさぎの かたちの ボタンでした。
おばあちゃんは めがねを かけなおして、しばらく ながめて いました。
「……これは、わすれちゃった」
「わすれたの?」
「うん。だれのだったかなあ。かわいいのにね」
まなちゃんは うさぎの ボタンを かんの ふたの うえに のせました。
「じゃあ、これ まなの に する。まなが おぼえとく」
おばあちゃんは わらって、はりと いとを もってきました。そして まなちゃんの ポシェットの ベルトに、うさぎの ボタンを ちくちく ぬいつけて くれました。
かえりの でんしゃで、まなちゃんは ポシェットを ひざに のせて いました。
ときどき うさぎを ゆびで さわりました。
まなちゃんは もう、うさぎの ボタンの ばんにんです。
読み終えて、どうでしたか